紅き天

「疾風、どうしたの?」



不思議そうな静乃に声をかけられて、疾風は我に返った。



「ああ、ゴメン。
思い出してた。」


「何を?」


「ん?
…力強い加勢。」



静乃はワケがわからないという顔をして花に向き直ってまた何か言った。



もう、疾風の耳には何も入ってこなかった。



基子を思い浮かべると、連鎖的に伝蔵、そして父親の宗治に辿り着く。



父さん、これでよかったかな?



俺、ちゃんと当主出来てるかな?



至らないけど、なんとか最低限はやっていると思う。



下っ端連中はとっくに普通の民になっているし、結構幅を利かせていた重役も半数以上はもう安全なはずだ。



どう、頑張っただろ。



疾風は頭に浮かんでいる宗治に胸を張った。



そして、勝手に頷いたものとして、妄想から現実の喧嘩に意識を移した。