紅き天

静乃は黙って疾風の手を握ったのだ。



「ゴメン、口はあまり出して欲しくないけど、何があったかは聞いておいて。
後からちゃんと説明はするけど、ある程度は聞いておいて欲しい。」


「…わかった。」



俺、完全に静乃に手綱を握られてるな。



でも、嫌な気はしなかった。



「あたしの前で見せ付けないでよ。」


「知ったことですか。」



花に放った言葉はもう元に戻っていた。



「ホントに嫌な女。」


「それでも結構です。
貴女と仲良くなろうなんて思いませんから。」


「奇遇だね、あたしもだよ。」



気のせいではない、バチバチと火花が散った。



この2人を諌められる奴は、きっといないと思う。



基子さんが来ても無駄だろう。



それどころか一緒になって喧嘩を始めそうだな、あの人は。



疾風は来るはずのない加勢を、密かに思い浮かべた。



ふわり、と微笑みが広がる。



思わず繋いでいた静乃の手を親指で撫でた。