紅き天

「そうだね。」


「馬鹿な兇手ね。
相手のことは勿論、親しい人間のこともある程度調べるのが基本なのに。」



怖い。



静乃が怖い。



怒るとうるさいと思っていたが、喧嘩させるとかなり怖い。



疾風はこれから絶対静乃と本気で喧嘩しないでおこう心に誓った。



しばらく沈黙が続いた後、花が口を開いた。



「家光のことは名案だったでしょ?
あれ、結構自信あったんだ。」


「確かに、よく考えられたものだわ。
私には真似出来ないもの。」



顔を引きつらせる花に対して、今や静乃は涼しい顔だ。



「あんたをあれだけ泣かせることが出来たんだから、知恵を絞った甲斐があるよ。」



静乃は無言で微笑み返した。



怖ぇ。



女って、しかもいつもは大人しい女って、怖ぇ。



疾風はもうこの場にいるのが嫌で仕方がない。



「静乃、俺…。」



どんな鋭い言葉が飛んでくるのかと覚悟していたが、嬉しい期待はずれだった。