紅き天

「静、静乃?」


「疾風には関係ないことよ!」



関係ないって!と言い返そうとした疾風だが、静乃の形相を見て出来なかった。



目は爛々としていて、眉間には見たこともない深いシワが刻まれている。



「全部?」



ピクリと頬が引きつる。



「全部。」


「そう。
初めて照日と会ったのも計算ずくだったってことね。」


「ご名答。」



次の瞬間、花は頬を強い力で引っ叩かれた。



「痛いなぁ。」


「これくらいは余裕で許されるはずです。」



だが、これの被害者はむしろ疾風だった。



静乃が誰かを叩くのを初めて間近でみたし、しかもその場面がよりによって今、静乃の顔が素晴らしく怖い時だった為、言葉を発せないほど怯えてしまっていた。



「でも、あたしがあんたと会ったのは予想外だった。
疾風との関係まで調べなかったからねぇ。」


「ああ、思い出した。
疾風の婚約者になるつもりだったのよね?
敢え無く失敗したみたいだけど。」



今度は花のこめかみにピキッと筋がたった。