紅き天

「あんたさえいなければあたしは幸せな一生を送れたのに。」


「そんな八つ当たり困ります。」



憤然と言い放ち、静乃はつんと顔を背けた。



「いけ好かない女。」


「私も同意見よ。」


「ま、静乃、抑えて。」


「五月蝿い。」



静乃に一喝され、疾風はシュンと縮こまった。



「可哀想に、彼萎れてるよ。」


「黙って。」



静乃は疾風にさっきよりいくらか優しく声をかけ、花に向き直る。



「まさかとは思うけど、貴女、私と照日が関わったことにどれだけ関与していたのかしら?」



今までよそを向いていた花は照日と同じ笑みを浮かべて、静乃の方に体を乗り出した。



「ぜ・ん・ぶ。」



語尾にハートが付きそうな声を出し、ウインクする。



「さすが天才と呼ばれた木更津の跡継ぎ。」


「貴女達のおかげもう現当主だけれど?」



2人の間に冷え冷えとした空気の流れを感じ、疾風はつい口を挟んだ。