紅き天

「ああ、こないだの女。」



着飾って綺麗にはしているものの、口からでてきたのは捩れた声だった。



「疾風の家で何してるの?」



ポカンとした表情で、静乃は腹を押さえて四つん這いのまま彼女を見上げた。



「何って…。」



なんと答えていいのかわからない。



静乃は思い出せていないのだから、当然だ。



相手は自分を知っているのに、自分がわからないのは気分が悪い。



「疾風!?」



取り敢えず疾風を呼んだ。



「静乃!?」



驚いた疾風が走って来る。



そして、蹲って見える静乃に慌てて近寄った。



「静乃、どうした?
痛いのか?
なんで?」


「…落ち着いてよ。」



逆に静乃が冷静に声をかけた時、後ろからゾクリとする気配が伝ってきた。



「疾風…。」


「どうした?」


「やだ…。
来た…。」



ブンブンと首を振る静乃を訝しそうに見つめ、疾風は首を傾げた。