紅き天

転がっていた刀をとり、構える。



何を思ってこの人達は当主に歯向かっているんだろう。



疾風はなかなかよくやっていると思う。



幕府の密使に気付かれずに名簿からたくさんの人の名前を消して逃れさせた。



確かにその間、仕事がなくて困っただろう。



でも、今までの報酬を無駄遣いせずに適当に使っていたらある程度まで生きていけるほどの金額は貯まっているはずだ。



何が気に食わないんだろう。



互いに隙を探して円をかく。



考えている静乃に男は踊りかかってきた。



キィンと金物のぶつかり合う音がする。



ハッと疾風がこっちを振り返ったのが見えた。



「集中して!」


「心配させるな!」



理不尽な叱責に唇を尖らせながら、静乃は思い切り刀を突き刺した。



男の血走った目が最後に静乃を睨み、地面に崩れた。



「終わった…。」



辺りを見回してため息をつく。



いつの間にか妙はいなくなっていた。