紅き天

「もう嫌だ。
何も考えたくない。」


「疾風…。」



ギュッと力いっぱい疾風は静乃の腰を抱いた。



「もう嫌だ!
誰か失うのは怖いんだ!
どうしたらいいのかわかんねぇよ、いきなり当主だなんて言われても。」



疾風の悲痛な叫びを聞いて、息も苦しく静乃は言った。



「疾風の組にも幹部はいるん、で、しょ。
ちょっ、苦し…。」



いろいろな感情を込めて力を入れている疾風。



静乃の腹を締め付ける力はかなりのものだった。



「あ、悪い。」



急いで放して静乃を支える。



プハッと息を大きくつき、静乃は床に座った。



「膝立ちだと力が入らなくて。」



静乃はヘヘッと笑って床に手をつく。



これなら大丈夫というように。



大分落ち着いた疾風は静乃の横に座り、膝の抱えた。



「俺達、これからどうする?
もう危機迫りまくってんぞ。」


「きっと徳川も黙っていないだろうから、すぐにでも人員避難させた方がいいと思う。」


「俺達はどうする?
顔見られてるし、誤魔化せないぞ。」



静乃は顎に手を当て、しばらく考えて込む。



容易に答えの出せる質問じゃない。



「もし私が徳川に嫁いだらどうなるかな?」



なんとも言えない悲しい瞳で問いかける。