紅き天

「私も独りぼっちになった。」



涙が込み上げる。



何も考えられなくて、静乃はただ思い切り泣いた。



密かに疾風の慰めを期待していたが待っていたその手は頭に乗らなくて、手の間から疾風を見上げると、疾風も肩を震わせている。



そっか、疾風も悲しいんだ。



静乃はギュッと疾風の肩に手を回して頭を抱いた。



疾風は驚いたように体を強張らせたが、堰が切れたように泣き出した。



疾風の腕が静乃の背中に回り、体を預けるように抱きつく。



「俺が伝蔵さんを殺した。
お前の親父を奪った。」



疾風の中に罪悪感がたぎっているのがわかった。



「そんな事ない。
仕方ないんだよ。
わかってるよ、仕方なかったってこと。
父様もわかってるはずだから。」



静乃の優しさが心にしみた。



今はそれさえ苦しい。



「父様がおじ様を殺めたの?」



腕の中の疾風の頭が微かに動いたのを感じ、静乃は言葉を続けた。


「じゃあおあいこじゃない。
しかも、仕方なくなんだから。
嫌いで殺したわけじゃないなら私は受け入れる。」



おあいこ、って、基子さんと一緒のこと言ったな。



疾風に基子の死という現実が更にさらされ、頭が真っ白になった。