紅き天




この日、基子は静乃を迎えに来ず、宗治が訊きに行った結果静乃は疾風の家に泊まっていくことになった。



疾風としては、願ってもないチャンスで、同時に不安もあった。



想いを伝えて拒まれたら?



もうこの関係さえ壊れてしまったら?



しかも、今日あった事で静乃は憔悴している。



なんとなく静乃がいる部屋に入りづらく、うろうろと居間を歩いていると、満面の笑みの宗治に捕まった。



「疾風、今夜コクっちまえ。」


「…どこでそんな言葉覚えてきたんだよ。」


「知らん、コクっちまえ。」



ハアッとため息をつき、疾風は言った。



「わかってるけど、怖いんだよ。」


「うん、わかるぞ。
静乃には基子がついてるしな。」



あ、いや、俺はそういうつもりで言ったんじゃないんだけど。



疾風は内心頭を掻いた。