疾風の部屋に、静乃は連れて行かれた。
宗治は気を利かせて上がってこない。
疾風は心の中で感謝しつつ、静乃に声をかけた。
「悪かった。」
返事はない。
まあ、期待もしていなかった。
静乃はさっきから座らせた壁ぎわで俯いて座っているから。
「そっち、寄るぞ?」
一言断り、隣に座る。
「なぁ、悪かったって…。」
言葉は途中で途切れた。
横を向くと、遠目にはわからないほど小さく静乃が震えていたからだ。
「…恐かったか?」
自分の声が擦れているのがわかった。
遠慮がちに、膝の上で握られた拳に疾風は手を重ねた。


