紅き天

静乃を溺愛している基子にはあり得ない珍事である。



疾風どころか宗治も驚き、目を見開いている。



「昔からこの二人が想いあっておるのは知っておったわ。
疾風もなかなかの男だと認めた故、この子を預けてやってもよいぞよ。」


「さっきはボロクソ言ったくせによぉ。」


「何、まさか静乃を返品するとかほざくか貴様!」



宗治は慌てて頭を下げた。



「まさか、そんなありがてぇ!」


「ふん、わかればよい。

この家光は私が引き取っておく。
説教が済むまで静乃を頼む。」



既に背を向けて放心状態の家光を引きずって行った基子を見送り、宗治は疾風を振り返った。



「行くぞ。」



静かに頷き、疾風は静乃を連れて中に入った。








野次馬もみんな、散った後だった。