紅き天

訝しげに静乃を眺めた後、疾風は抱き合っている(ように見える)二人を認識し、後ろに下がった。



「ああ、邪魔してゴメン。」


「馬鹿!」



幽霊のように下がっていく疾風に怒鳴ったが、足を止めようとはしない。



「もうッ!」



必死で家光の胸板を叩くも、相手にダメージは無く、むしろ自分の拳が痛くなってきた。



「放…して…。」



力が抜けて、静乃は地面にへたり込んだ。



家光は慌てて静乃を支える。



「お願いします、放して…。」



擦れた声で懇願する。



そこに、宗治が顔を出した。



亡霊のように戻ってきた疾風が何を見たのかを見にきたのだ。



そして、へたり込んでいる静乃と、それを抱いて放そうとしない男を見、声の限り怒鳴った。



「馬鹿野郎ーーー!!!!!!!!!!!!!!」



通りを歩いていた人達が思わず足を止めるくらいの大音響。