紅き天

「狐!」



駆けてきた静乃を目にし、家光は顔を綻ばせた。



そして、腕をつかんで引き寄せる。



「キャッ!?」



家光など目に入っていなかった静乃はいきなり抵抗がかかり、バランスを崩した。



「なっ、何!?」


「待て。」


「あなたですか!
放して!」



いくら兇手といえど女、しかもまだ15歳がいっぱしの男、そして武士の力に敵うはずは無く。



敢えなくガッチリと捕まえられてしまった。



端目から見れば、夫婦に見えただろう。



誰も助けてくれる人はいない。



「放して下さい。」



苛立ちを隠さず言い放った静乃にさすがにムッとしたのか、家光も不機嫌になった。



今まで、静乃ほど失礼な態度を取った人間はいなかったのだ。