紅き天

「うん、ずっとこっちを見てるの。」


「相手にするな。
そして、絶対に二人きりになるな。
何をしてくるかわかったものではない。」



基子は徳川の孫に対してかなりの毒舌を吐いている。



娘の事となると、目が据わる。



静乃は尊敬もしていたが、今は畏怖の念がやや強い。



「まったく、照日も余計な問題を持ち上げてくれたものだ。」



伝蔵も苦虫を噛み潰す。



「あの女、いつか噛み殺してくれるわ。」



静乃はさりげなく基子の腕を解き、伝蔵と視線を交わした。



基子が怒るとどうなるか、伴侶となった伝蔵が身に染みて知っているのだ。



「静乃、今日も店番はいいから部屋にいなさい。」


「はい。」



静乃は素直に頷き、階段を駆け上がった。