「狐。」
出た。
ここ最近、家光は静乃の家に張りついている。
つけられていると知らず、帰宅したらコレだ。
私も落ちたものね…。
顔に手を当て、息を吐く。
少し落ち着くと、のれんを上げた。
その間、家光は静乃から目を離さない。
「狐。」
また、家光は呼ばわった。
不幸中の幸いか、彼はまだ静乃の名前を知らない。
静乃は無視して店の中に逃げ込んだ。
「静乃、また奴か?」
基子が心配そうに静乃の肩を抱いた。
両親に3日前に気付かれ(勿論、何故すぐ相談しなかったと説教された)、それ以来二人は力になってくれている。


