詩音としたのは予想通りあれが最初で最後だった。

ランチを一緒にしても、あの日の事には暗黙の了解というか、お互いに触れることはなかった。

卒業して第二の人生に独り立ちする不安と、

このまま別れたくないという強い想い。

自分のことが嫌いでたまらない僕達が最後に勇気を振り絞って生んだ、

花火のように淡い一夜限りの交わりだった。

なあ詩音、君は自分のどうしようもならない同性愛にどう向き合ったんだい。

どうして僕に何も告げずに自ら死を選んだんだい。

僕のように自分のことがそんなに嫌いだったのかい。

君のいない荒野はあまりにも広くて、立ちすくんでしまう。

心焦がす自己否定を必死に滅却させて、

君がサークルや職場で咲かせた花がいとおしくてたまらない。