本田君は何を考えているのかまったく分からない。 人間は大抵目で表情を読み取るのだが、彼の目は前髪で隠れているうえに眼鏡。しかも無口。 「絶対前髪切ったほうがいいよ」 「切りませんよ」 ものすごく不機嫌になった様子の本田君。 「あ、…ごめん」 しばらくして本田君はゆっくりと口を開いた。 「このタイミングを逃したらずっと言えない気がするので言います」 「?」