心と空間の沈黙が痛い。 「ユズ?」 声のする方を見ると、ドアが開き、少しの隙間から兄ちゃんの顔が見えた。 「…何勝手に入ってんの?キモイ。」 そう言い、アタシは玲への返信画面を出す。 心の中では、なぜか不安が襲ってきていた。 「音楽、でかすぎるっしょ。」 「…で?」 再び画面から兄ちゃんへと視線を移すと、兄ちゃんの優しい顔が目に入ってきた。本当は、この優しい笑顔に何度も頼ってしまいそうになった。でも、アタシらしくなくなると思って、何度も押さえ込んできた。 …でも。