シグムンドのコクピット。

例外なく狭いAMのコクピット…その主モニターに映る真紅郎のオーディンを睨んでいると。

「ミハエル・レイカー少佐!」

透き通るような凛とした声が私の名を呼んだ。

「シェリン・コスミティアか…」

私は静かに呟く。

「最早雌雄は決した。貴方が自ら告げた事です…にもかかわらず、帝少尉との戦いを望むとはどういう事ですか?『暁の死神』は、悪戯に殺生を好むのですか?」

…彼女は無関係にもかかわらず、コンロット社代表取締役ブレンビー・アークスによってさらわれ、戦闘に巻き込まれてしまった哀れな歌姫。

私もその片棒を担いだ分、責任は感じるし申し訳なくも思う。

しかし。

「女が口を挟まないでもらおうか!」

私は通信機越しにシェリンを一喝した。

「民間人風情が、AMパイロット同士の会話にしゃしゃり出てくるな!」