小さな高校が珍しく浮き足立つ季節が近付いた。


体育祭。


文化祭に並ぶ二大行事の一つが一週間後に迫っている。



休み時間はどこのクラスも誰がどの競技に出るかとか、団体競技の作戦会議で持ちきりだ。



それと同じくらい重要視されてるのが、クラス単位で描く立て看板。



クラスの顔とも言えるそれに力を入れてるクラスは多く、



「おおーーっ!!」



もちろん、うちのクラスも例外ではなかった。



ハチマキと応援旗作りに勤しんでいたわたしたちの耳に、教室の後ろから湧き上がった歓声が飛び込んでくる。



「さすが晴天ー!!」



盛り上がるクラスメートの輪の中心には、鉛筆を握った晴天が居て、



もう片方の手の中には、今話題のイラストレーターの切り抜きがあった。



どうやら、クラスメートに泣きつかれて晴天が巨大な看板に模写したらしい。