まえがみ




帰宅の時間。




「エリ!」


グラウンドにエリを迎えに行った。
エリは手を振って走ってきた。


「今日はどうだった?」


エリはあたしを心配してくれる。
…ありがとう。


「楽しかったかな…うん。エリは?」


「あのね、」



エリの真剣な表情に、あたしは驚いた。
正直、久しぶりにエリのそんな表情を見た気がしたから。


「何?何かあったの?」


そう聞くと、何事もなかったかのように笑顔を取り戻した。


「ううん、やっぱ…何でもない!」


「…そう?なら良いけどさ。なんかあったらなんでも言いなよ?」


「うん、ありがと。」



20分の帰宅までの時間。

…この日、あたしは1つだけエリに話そうと思っていたことがあった。
でも、なんかすんなり話せないような気がした。

なぜなのかはわからない。