慌てて目をそらし、エリの方を見る。
「…誰?」
エリに向かって、その人はあたしの名前を聞いている。
…この人、なんなんだろう。
「あぁ、仲良しのヨシノって言う子だよ。」
「へえ~…。」
恐る恐る再びその人の方を見ると…。
目があった瞬間、優しい微笑みを浮かべてあたしの名前を呼ぶ。
「ヨシノ?ちゃん?」
ニコッとしたその表情に、思わず見とれている自分がいた。
…あぁ…。
意味もなく心からため息が出る。
「佳乃、ユウって呼んでね。」
エリはユウを簡単に説明した。
ただただ、頷くことしかできなかったけれど、もっと知りたいって、そう思うようになっていく。
「ヨシノちゃん。」
ユウって人は、あたしの名前を呼んだ。
また…呼ばれた…。
呼ばれたことにこんなに敏感になることは、小学校の時の好きな人に呼ばれたとき以来の感じ。


