「いやぁ!消えて!!お願い!!いやぁ、来ないでぇ!!」

「落ち着けって、何にもねぇから」

やっと、高遠先輩の声が、耳に届いた。

あたしは、高遠先輩に、肩をつかまれていた。

心臓は、バクバクしていた。

「欄、お前」

あたしは、耳まで、真っ赤になっていた。


顔、あげらんないよぉ(>_<)


そして。

高遠先輩は、ブワッハッハッハと、馬鹿笑いをはじめた。

あたしは、グーの手を、プルプルふるわせた。


な、殴っていいですか(−_−メ)?


「お、お前、お化け屋敷が、怖いの?キャーって」

「こ、怖くなんかないですっ」

「わかった、わかった。涙ためながら、言うなよ」

高遠先輩も、涙を浮かべながら、笑いっぱなしだった。

「高遠先輩っ。ホントです!怖くないです」

「まぁまぁ。ププッ。可愛かったけどな……。女の欄をみたの、久しぶりかもな」

「…………」

「悪かったって」

そう言った途端に、電気が落ちた。

バチンと音がして、突然真っ暗になった。

「高遠先輩!」

「バカ!俺じゃねぇよ」


ガサッ!


え?


誰?


「誰かいるっ?」

あたしは、声をだした。

「欄?」

「左側から、な、何か聞こえた!た、高遠先輩!ど、どこ?」

「欄、しっかりしろ。まだ、聞こえるか」

「わかんないっ!わかんないっ!ヤダッ!聞こえない!!さっき、聞こえたのに!幽霊!?先輩?どこ?」

あたしは、座り込み、耳をふさいだ。

いつもの冷静さは、全くなかったね。

誰かが、あたしの肩にふれた。

「キャーッッッ!!」

「欄、しっかりしろ!」

高遠先輩が、力強く抱き締めてくれた。

相手が、高遠先輩だとわかると、あたしも高遠先輩に、しがみついた。

震えがとまらなかった。

「大丈夫だ」

高遠先輩は、震えるあたしを、ずっと抱き締めてくれた。

「うえ~ん」

「泣くな。怖くないだろ?」

「うえ~ん」

「大丈夫だ。大丈夫だ」

高遠先輩は、あたしの耳元で、励ましてくれた。