そう、ナイわよ。


あたしは、お化け屋敷がナイことを前提に、現場へ歩いて行った。

そして、現場の入り口で、立ち止まる。


ああ゙~(@_@)


なんでぇ。


アトラクションの名前は”待ち伏せ”と、赤い血がしたたるような感じで書いてあった。


「どうしたの?青い顔して」

「な、なんでも、ありません」


こ、怖いよぉ~(:_;)


「なにしてんだよ。早く来いよ!」

苫利先輩は、中に入りはじめていた。

足が、なかなか進まなかった。

2分が、たった。

あたしは、中に入ってなかった。


入れないよ(>_<)


だってだってだってだって!


お化け屋敷には、幽霊が出るじゃん!


そんな怖いとこ、入れないよ!!!!


「欄、なにしてんだ?」

後から来た、高遠先輩に、声をかけられた。

「ひゃあっ?!あ、いえ、なんでも……。高遠先輩、今、入るんですか?あ、あの……」

「ほら、行くぞ」

高遠先輩は、あたしの襟首を掴むと、スタスタ歩き出した。

「待って!高遠先輩!待って!」

あたしは、目を瞑りながら歩いた。

歩いていた、高遠先輩が、突然立ち止まった。

「な、なになに?どうしたんですかっ?!」

目を瞑ったままのあたしには、理解できない状況だった。

あたしの襟首から、高遠先輩は、手を外した。

「欄、お前、怖いの?」

「な、なにがです?」

説得力も何もなかった。

「明るいんだから、目、開ければ?」

その声を聞き、あたしは、そぉ~っと、片目を開けた。

確かに、明るかった。

現場検証をしているため、本来なら真っ暗なお化け屋敷が、今は、電気の光にさらされていた。

「ど、どうしたんですか?高遠先輩。さ、先に、い、行きますよ」

あたしは、動揺を隠しながら、進もうとした。

「欄!後ろっ!」

高遠先輩が、突然大声で叫んだ。

「キャーッッッッッ!!!」

あたしは、高遠先輩に突進して、しがみついた。

「欄!落ち着けっ!」