―ポツ、
――――ポツポツポツリ。
「うわっ、嘘だろー…雨降ってきた。」
「えー!あんなに晴れてたのに!」
「窓、閉めろ閉めろ!」
昼休み。担任から呼び出しをくらった亜矢を待つこともせず、俺は一人でカレーパンを食べていた。黙々と。
うむ。カレーパンは、実にウマい。
「雨?」
クラスの奴ら数人が騒ぎながら急いで窓を閉めている。
最後の一口分のカレーパンを名残惜しげに渋々口へと放り込み、まだ閉められていない窓から外を覗くとなるほど、確かに雨が降りだしていた。
なんてことだ。あんなに晴れていたのに。
どうやら最近のお天道様は情緒不安定気味のようだ。
「悠恋ー!風邪ひくぞー!」
「おー。」
了承の意味を込め軽く手を挙げ、俺はゆっくりと窓を閉めた。
本当に可笑しな天気だ。
「あー!悠おまっ…勝手に昼飯食ったなー!」
「勝手にって…俺は自分の分の昼飯を食っただけだ。」
「そういう意味じゃねぇよ!」
「一人で、ってことを言いたいわけか?」
「そうだよ!俺一人で食わなきゃじゃん!」
「…何か問題でも?」
俺はわからん、と眉間に皺を寄せると亜矢は隣から椅子を持ってきて俺の机に少し乱暴に弁当を置いた。
「一人で食ってもつまんねーし、カレーパン食いたかったし。」
「明らかに後者がお前にとっては重要だろ。」
亜矢は本当に騒がしい。
担任に呼び出されている間は俺の中では本当に平和な時間が流れていたというのに、亜矢が戻ってきたことにより俺の短い平和は終わりを遂げた。
ああ、さらば。俺の時間よ。


