私が話した事は全部本当の事。
何一つ嘘は言っていないが、全ての事を話したわけではなかった。
今まで誰にも話した事ないから、どうやって話せば良いのか、躊躇う。

私が全てを二人に話し、もしそれが何らかの形で二人の負担にならないとは言えないだろう。
優しい二人だから、「大丈夫だ」「気にする事ないよ」そんな優しい言葉を私にくれるかもしれない。だけど、私はその言葉を容易く受け入れられない。

コルタの提案にしろ、ただ私が安心してあそこに住めるから。と言う理由だけのものなのだろうか。
ジンと一緒に暮らすのがいけないのだろうか。
それともジンとアサガの目が離れ、一人でいる時間がよくないのか。

川面が僅かな光を反射し、鈍い光を放っている。
私の心を映し出す様に、その彩りを変化させていた。

雨風を凌げれば、何処でだって暮らしていける。
食材を手に入れる事もどうにだって出来る。

そんな事分かっているのに。
どうしてこの森から出る事に、躊躇いを感じるのか。

獣道を進みながら見上げた空は木々に覆われていたが、その隙間からは星を見つける事が出来た。