三人並んで来た道を帰っていく。
その帰り道、茜色の空はもう消え去り、遠くの空には一番星が輝いていた。

紺碧の空を見上げた私の心は何も感じることなく空っぽ。
空虚なのは、私の心なのだろうか。それとも私自身なのだろうか。
ふと可笑しく感じ、私は口の端を微かに上げた。

「寒くないか?」

心配そうに覗き込むジンに「大丈夫。」と答える。
ジンは私の顔を怪訝な顔で見ているが、それ以上は何も言わない。

日が落ちるまでに帰れると思っていた私たちは、夜風を凌げる物を何も持っていなかった。
ジンとアサガは肌寒さにも慣れているのか、顔色一つ変えることなく俯きがきに歩みを進める。
男物の衣服よりも薄手な女物のそれは、やはり夜風を遮ることなく通し私の肌に振れていく。

私は頭に被っていた布を肩に羽織りなおし、ぎゅっと胸元を掴んだ。

いつもなら必要以上に喋るアサガも大人しく、落ち着かない。
今はジンの優しさでさえ、私の胸を締め付けてならなかった。