紫黒の瞬き

「それはな…紫の民がその能力を発揮する時に分かると言われている。」

言い辛そうに言うコルタの代わりに私が続きを答える。

「簡単に言えば、危機を感じた時。つまり命の危険に晒された時などにその能力を発揮すると言われてる。いくら普通の色の瞳だったとしても、その時ばかりは持った力を放出する様に瞳が紫に変わる。」

私の言葉にコルタは頷いた。

殺されそうになって初めて見せるその色に、私たちは翻弄される。

「じゃあ、オルビナも……。」
私は小さく頷いた。

偶然だった。
母と二人でひっそりと山の中で暮らしていた。そう簡単に追手に見つかるはずはなかったのだが、偶然数人の追手が山の中に迷いこんで来たのだった。

最初はあの追手も私たち母子が紫の民だとは思ってもいなかった。

「…襲われそうになったの。そんな下っ端の追手ぐらい私一人でどうとでも出来たわ、でも…母はそうではなかった。」

取り乱した母の瞳は紫に変わっていた。