紫黒の瞬き

「血が濃いのかコルタが訊いた理由はこれか…。」

考え込んでいたジンが呟く。
そのジンの言葉に、ジンも全てを知っているわけではないんだと認識する。
コルタは「ああ。そうだ。」と説明を始めた。

「もうこの瞳を持つ者さえ、少なくなってしまったのだよ。
紫の民の殆どは普通に見ただけでは私たちとそう変わらない。その瞳の色は黒だったり、茶色であったり。血が薄まる事によって、紫の瞳を持つ者どころかオルビナの様な瞳を持つ者さえ見かけることはなくなった。」

「もともと紫だった瞳が混血により、私の様に淡い茶色に紫を帯びた虹彩の瞳になり、その後は見分けのつかない普通の瞳へと変わっていった。身を守る為に変化していったのよ。」

「だからコルタはオルビナに、血が濃いのか聞いたのか…。」

そう言ったアサガは納得したようだった。
ジンも納得したのか、腕を組み何も言わない。

「でも私は血が濃いわけじゃなく、恐らく先祖返りだと思う。
父の事は分からないけど母は普通の瞳の色だったから。」

「あのさ、まだ分からない事があるんだけど…。」

アサガは申し訳なさそうに発した。

「どうやって普通の民と紫の民を見分けるか。だろ？」

そう言ったジンは険しい面持ちだった。