紫黒の瞬き

コルタはどうして私をここに連れて来させたのだろう。
興味本位で私に会ったのだろうか。
その思いを完全に拭い去る事は出来ないが、彼の持つ雰囲気に私は飲み込まれる。

優しい瞳は澄んでいて、その奥には力強い何かを感じ取る事が出来た。

人を引き付けるその瞳は彼のその人柄を物語っているようで、抵抗なく私は少しずつ言葉を紡いでいった。


『紫の瞳を持つ民を我が物にすれば、戦に負けることはまずない。』

戦闘能力に優れたその民を近隣の軍は競って手の内に丸め込もうと、その言葉に弄ばれる様に躍起になった。
しかし、元々戦を好んでいないその民たちはそれを拒否する。
戦に加わったところで、沢山の民が負傷し命を落とすという事は考えずとも解ること…。

「その民がその後どうなったかご存知ですか？」
ジンとアサガも気付けば向かいにあるソファーに腰掛け、私の言葉に耳を傾けていた。

「私が聞いた話では、その民は姿を消し軍はその民を探しているとか…。」

「…そうですね。あながち間違ってはいません。」

私はコルタに力泣く微笑む。