紫黒の瞬き

私は俯く。その言葉がどれほど嬉しいものか再認識させられるが、その思いとは裏腹に真黒なものが心の中に巣くう。
この想いに気付かぬ振りをして彼等のもとに居れるのであれば、どんなに幸せな事なのだろう。
心の弱い私はジンとアサガの目を見ることが出来なかった。

その気配を直ぐ側で感じているのに、彼等の顔を見たいのに、私は顔を下げたままで、ぎゅっと目を瞑る。

「オルビナが…考えている事は分かる。」

息を吐き出しながらコルタは言う。

「ジンとアサガに迷惑が掛かるかもしれないと思っているのだろ?」

「………」

「そんな事、こいつ等はなんとも思っちゃいない。」

後ろにいる二人がフッと小さく笑ったのが分かった。
俯いていた顔を上げコルタを見ると、私の肩越しから後ろに居る二人を見ていて、その目にも笑みを湛えていた。