三人掛けのソファーに座るコルタは私の手を軽く握ったまま、隣に座るよう誘う(いざなう)。
コルタはその手は離さずに左手首へ視線を落とした。
傷は完全に塞がり巻き付けていた布はもう外していたが、そこには赤くて細い一筋の傷痕が残っていた。
「辛い思いをしたんじゃないのかい?」
優しい表情で、優しい雰囲気で、私を包むコルタに目頭が熱くなる。
父の記憶は私には無いが、もし私に父が居れば彼の様に優しく私を包み込んでくれたのだろうか。
そんな有りもしない事を考え鼻の奥がツンとした。
「人から見れば、私は幸せとは言えないかもしれません。父は居らず人目を避けるように母と二人、ひっそりと暮らさないといけませんでしたから。でもこれは私にとっての当たり前の日常でした。」
ジンとアサガの気配を後ろに感じながら私は続けた。
「それが辛いと感じた事はありませんでした。」
私の両手を包み込むコルタの手は暖かく、とても心が落ち着く。
「ジンとアサガ、それにコルタさん。皆さんは私の何をご存知なのですか?」
私に全てを曝け出させるような雰囲気が漂うこの部屋で、私はその空気に助けられジンとアサガにずっと訊きたかった事を口にした。
コルタはその手は離さずに左手首へ視線を落とした。
傷は完全に塞がり巻き付けていた布はもう外していたが、そこには赤くて細い一筋の傷痕が残っていた。
「辛い思いをしたんじゃないのかい?」
優しい表情で、優しい雰囲気で、私を包むコルタに目頭が熱くなる。
父の記憶は私には無いが、もし私に父が居れば彼の様に優しく私を包み込んでくれたのだろうか。
そんな有りもしない事を考え鼻の奥がツンとした。
「人から見れば、私は幸せとは言えないかもしれません。父は居らず人目を避けるように母と二人、ひっそりと暮らさないといけませんでしたから。でもこれは私にとっての当たり前の日常でした。」
ジンとアサガの気配を後ろに感じながら私は続けた。
「それが辛いと感じた事はありませんでした。」
私の両手を包み込むコルタの手は暖かく、とても心が落ち着く。
「ジンとアサガ、それにコルタさん。皆さんは私の何をご存知なのですか?」
私に全てを曝け出させるような雰囲気が漂うこの部屋で、私はその空気に助けられジンとアサガにずっと訊きたかった事を口にした。


