紫黒の瞬き

悶々としたまま、それでもここから離れることはせず、私はジンとアサガと一緒に歩みを進める。
ジンとアサガを信じていない訳ではないが、それでも多少の不安は着いてまわる。

俯いたまま辿り着いた部屋で私たちを迎え入れたのは、初老の男性。
第一印象は優しそうな人だな。と思った。
ジンとアサガともやはり顔見知りの様で、気心知れた感じで話をしている。
私はそんな三人の様子を見つめていた。

「その娘がそうかい？」

突然振られた言葉にピクリと肩を震わせ視線を上げた。
その視線の先には柔らかく微笑み、少し細めた目があった。

「ああ。」

ジンが答えるとその男性は私をジッと見つめる。
そして
「こちらへおいで。」
手招きをし、私を呼び寄せた。

恐る恐る近づく私に向けられるジンとアサガの目はいつもの様に柔らかく、微かに笑みを浮かべている。
そんないつも通りの二人の雰囲気に安心し、私は男性の側まで寄ることが出来た。