紫黒の瞬き

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
深々と頭を下げたお手伝いさんらしき人の後を私たちは並んで着いて行った。

お庭だけでなくお屋敷の中も豪華でキョロキョロと見回す。
そんな私の様子が可笑しかったのか、アサガに笑われた。

「ねえ。私も一緒で良いの?」

この屋敷の主は恐らく仕事のお客様なのだろう。仕事の話の為にここに来たのであれば私は邪魔なのでないのか。そう思い、私は問いかけた。

「大丈夫だよ。」

アサガの言葉に「…そうなの?」首を傾げてジンを見る。

「そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だ。了承済みだ。
そもそもオルビナを連れて来いと言ったのは、ここの主だからな。」

「……そうなんだ…。」

私も一緒に着いて行っても良い事がわかったが、ジンが言った事が私は気になった。
私をここに連れて来い。と言ったここの主。どうしてそんな事をジンに言ったのだろうか…。