紫黒の瞬き

門兵は私たちを見ると無言で門を開け、中へと通してくれる。
白い塀に囲われた大きな屋敷。ギッと開いた門扉を潜り抜け、目の前に広がった立派な庭に私は感嘆の声を漏らした。

「凄いお庭だね…。」

隣を歩くジンとアサガはこの風景に見慣れているのか、当たり前の様な顔をしている。
それどころか、アサガは少し呆れた様な笑みを浮かべ、眉を下げていた。

「金持ちの道楽だろ。」

しかし呆れ顔をしていたアサガだけでなくジンもそう思っていたようで、鼻で笑うように言った。

門からお屋敷までは白い小道が続き、見渡せば芝が敷き詰められている。
色取り取りの花と木々がセンス良く植えられていた。

真白な小道の先には真白なお屋敷。
緑と白にコントラストがとても綺麗で、こんなに素敵な屋敷の主はいったいどんな方なのだろう。
そんな事を考えながら、大きな扉の前まで辿り着いた。