二回目に目覚めた時は前回程頭に痛みを感じる事はなかった。
重い頭と身体。相変わらず喉は焼け付くような痛みと熱さがあり、声は出せそうにない。

あれからどれぐらいの時間が経ったのかわからないが、明るかった部屋は暗くなっていて、暖炉で燃えている炎がパチパチ音をたてながら輝いていた。

炎の明かりを頼りにドアを目指す。

そっとドアを開けると最初に目に入ったのは、黒髪の男の後姿だった。

私がその姿を捉えるのと、男が私の存在に気が付いたのはほぼ同時だったようで、直ぐにこっちを振り返った男と目が合う。

「大丈夫か?」

立ち尽くす私に男は声をかける。

「……………」

声が出ない私は小さく頷くしか出来なかった。
椅子から立ち上がった男は音も立てずに私の前まで歩み寄り、すっと手を伸ばす。
それが私の熱を診る為だと分かっていたから、そのままされるがままにした。

「まだあるな。」

言うと私を暖炉に一番近い椅子に座らせる。
男はそのまま私の左手を持ち、手首の傷を確認した。

巻きつけてある薄手の布をはずすと、その下には傷口に合わせた大きさの布が薬と共に当てられていた。