もう何日歩き続けてるのだろう。
人目に付かない所を選んで進むが、それは決して歩き易い平坦な道ではなかった。

周りの気配に気を付けながら、神経を磨り減らす。
ピリピリと張り詰めているのは自分でも分かっていた。

この張り詰めたものがなければ呆気なく倒れてしまうだろう。

足が絡まる。身体が重い。

ここで倒れてしまえば、どんなに楽なんだろう。

何度となく湧き上がるその思いを振り払い、それでも足を進めるのはいったい何故なのだろうか。

ザッと音を立てて膝をつく。
小さな小石に躓くぐらい、足元は覚束ない。
声も出ることなく口から漏れるのは、荒い息遣いだけだった。

もう痛みすら感じる事はなかった。

立ち上がろうと力を入れるが、一度折れてしまった身体をそう簡単に立て直す事は出来ず、そのまま重力に逆らう事無く砂利の上へ身体を横たえた。
限界を超えた体力と気力。
川沿いのゴツゴツとした砂利さえ、熱った頬には冷たくとても心地が良かった。