ずるい、ずるい、ずるい。
「それにお前、社長のこと好きなんだろ?」
なんだか返事をするのは癪で、コクりと、首を縦に振る。
「…じゃあ大丈夫だ。」
どんな根拠があるんだか。
だいたいこうなったのは春のせいなのに。
ずるい、ね。
馬鹿なあたしはその一瞬で、もう許しちゃってる。
「は~!気持ち良かった~」
人ん家だというのにずいぶんと長いバスタイムを満喫したらしい妹。
更には、あたしが大事に取っておいた入浴剤まで使った……とか。
「え~!あれ駄目だったの?」
「許可を取ってよ、許可を!」
くっそう。楽しみにしてたのにー。
花梨はそんなあたしの気持ちなんて知らずに、るんるんしちゃってる。

