刹は渋々と了承した。
その夜、咎は縁側で明日の任務に使う武器の手入れをしていた。
「気合いが入っているな」
「呉にぃ…」
呉は咎用の湯飲みと、自分用の湯飲みを持って
咎の隣にあぐらをかいて座った。
「…兄ちゃんは…俺のこと嫌いなのかな」
咎は武器を拭くのをやめ
俯いた。
「……そんなことはないさ。
ただ…あいつはお前が大事で仕方がないんだよ」
「でも…」
「早くに両親を亡くしたお前達だからこそ、その思いが強いのかもしれない」
そう。
咎と刹は、早くして両親を失っていた。
人数の少ない一族でまとまって生活をしていたため
咎達の面倒は、彼等の叔母にあたる呉の母親が見ていた。
「お前の家族が刹一人なのと同じように、刹の家族もお前一人なんだ。
親心というか…『守らなきゃいけない』ってプレッシャーがあいつにはあるんだよ」
呉の言葉に、咎は少しだけ顔をあげた。
「さて…明日はお前の初の一人での仕事だ。
早く寝ろよ」
「……はぁい」
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