「流石は咎、一族一の腕を持つだけある」
青年…呉(グレ)は満足そうに微笑む咎の頭を撫でた。
「けど咎…あれは悪目立ちしすぎだ」
横から刹が咎を叱った。
「成功したんだからいいじゃないか。
それに咎の腕は一人前だ」
「それでもうまく逃げられなかったら半人前と同じだ」
まるで飴と鞭だ。
「まぁ、あれだけ暴れたんだ。
逆に気付くのが遅くなるさ。
結果オーライってことで」
「その辺りの手際は良いかもしれないが、俺が助け舟を出さなければ確実に咎は捕らえられていたぞ」
「俺助けてくれなんて言ってない!!
兄貴が勝手に助けただけだろぉ!?」
咎と刹が言い合いを始め
呉が呆れたように溜息をついた。
「兄貴は俺のコトを子供扱いしすぎなんだよ」
「十三歳なんて子供だろぉ!!」
「刹…裏(こっち)の世界じゃ、十三歳なんて十分大人だぜ?
それに、今あんまり可愛がりすぎたら本当に大人になったとき、可愛くて手放せなくなるぜ?」
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