「俺さ。夢に向かって頑張るって決めても、大学辞めてただのフリーターだったし」
拓海が情けなさそうに笑いながら言う。
「だから逃げちゃった。佳奈美と向き合うこと」
あたしはそれを聞いて、首を振った。
拓海がその意味を、優しく見つめながら無言で尋ねる。
「拓海だけじゃないよ、あたしも逃げちゃったから」
別れ話をされても、何も理由を聞かずに承諾して。
泣いてすがりついて、甘えることもしなくて。
それでいて、さっさとアドレスまで消去した。
まるで拓海の存在さえも、消去するかのように。
思わず涙が溢れそうになるのを堪えていると、拓海の手が伸びてくる。
優しく、あたしの頭を撫でる。
「お互い様だな、俺達」
そう言って優しく微笑む拓海。
堪えきれなくなった涙が、頬を伝う。
拓海はそれを、優しく拭ってくれた。

