「佳奈美が実習で大変な時期に言い出せなかったんだ」


申し訳なさそうに、拓海が言う。


「それに俺ね」


拓海が、顔を伏せて続ける。


「佳奈美が、俺のこと想ってくれてる自信が全然なくてさ」


馬鹿だよなー、なんて自嘲的に笑う拓海。


あたしもそんな拓海の気持ちなんて気付かなかった。


そして同じように、あたしも拓海に想われてる自信がなかった。


だから別れ話も、簡単に承諾した。


理由なんて聞かずに。


「佳奈美ってさ、俺に頼ったことないじゃん?」


拓海に尋ねられて、拓海と過ごした時間を思い出してみる。


けど確かに、頼ったことはなかった。


忙しい拓海に頼ったりなんかしたら、嫌われると思って。


「実習初日から、佳奈美がだいぶまいってたのは麗真から聞いてたんだけどね」


お互いに自信がなさすぎて、頼ることをしなかったあたしたち。


そうしたさしいな行き違いが、大きな隙間を作ってしまっていたんだ。