ただ、そんな生活をしていても――その生活に満足をしているといっても――たまには外に出ないと身体も気持ちも腐りそうになるものなのだ。

 だから、電気街に行くのだけはなるべく定期的に行っている。
 ただ……唯一の外出先である電気街にも、俺の『オアシス』と呼べるような場所と言っても――まるで不満が無い訳でもない。

 最近は電気街にも場違いな人間が増えたような気がするのだ。
 女を連れて来ているような無粋なヤツや、ファミリーで来てしまっているような――電気街の『何たるか』をまるで理解していないようなヤツらが増えた。
 少し荒んでいるような、それでいて暗い活気に満ちている電気街の空気が好きな俺みたいな人間には……最近の電気街はやや好ましくない――というよりも、現実の女とまるで接点が無い俺に、生身の女と出歩いているのを見せ付けてくるような連中が存在するのが気に食わない。
 電気街とはファミリーが和気藹々とするような場所でもないし、ましてやカップルがデートに利用するような場所じゃないんだよ!

――軽く殺意が芽生えてくる。