簡単に言えば、勇気も度胸も勇敢さも気概も侠気も無い俺は、その場に固まってしまい声を失って立ち尽くすしか出来なかった……という訳である。

――とりあえず、いつまでも紙袋を持ったまま自分の部屋の中で立ち尽くしているわけにもいかない。

 そう思って、裸で俺の部屋に寝そべってしまっている女の子に息を潜めながらそっと近付いてみることにした。
 俺が近付いた事により女の子が目を覚まして――俺の外見を見てしまったら、彼女がいきなり起き出して反撃の為に襲い掛かられても文句が言えない程にキモオタな外見であるし、見た目以上に非力で戦闘能力に欠けている俺としては襲い掛かられたとしても、哀しいことに何の抵抗も出来そうもない。

 それ故に、現在のところは彼女を起こさないように、隠密裏に彼女に近付き、こちらがある程度、何をされたとしても反撃は可能となる体勢を整えてから彼女を起こすようにした方が無難――と判断したのである。