HDD彼女

――掘り出し物の画像が集まったら、またアップローダーに放流して神扱いされるのも良いだろう。

 作業が終わった後、自分に寄せられるであろう内外からの歓声にも思いを馳せつつ、玄関を開けて、部屋の奥から漂ってくる湿った空気を肺の中に吸い込む。
 嗅ぎなれた臭いが、ようやく自分の城に戻って来れた事を俺に認識させてくれる。

 しかし、そんな事に感慨を覚えている暇は無いのだ。
 俺の今日の予定はこれで終わった訳では無いのだから。
 むしろ……これから俺の今日の予定は始まりを告げるのだ。
 買ってきたばかりのハードディスクが、パソコンの中に眠る膨大なデータが、それらを整理しきった時に、俺の元に訪れるであろう賞賛の嵐が――それらの全てが俺を待っているのだから。

 靴を脱ぎ、上着を脱ぐのももどかしく――PCが置いてあるリビングに一目散に向かう。