喜代子の眼差しに、老いた飴細工師は優しく微笑む。 『お嬢ちゃん、何がいい?』 その一言に喜代子の心臓は大きく脈打つ。 お囃子が止んだ、 いや それはもう耳に届かないだけ。 鮮やかな屋台の光は、ただ真っ白く。 喜代子の頭の中に浮かび上がっては消える動物達。 天高く駆け上がる馬、 羽ばたく鳥。 喉を鳴らす猫。 老いた飴細工師は、ただじっと喜代子の一言を待っている。