「先生、これって……」

指輪を眺める私に、

「ずっと、渡そうと思ってたんだ……」

と、先生は言った。

「俺がもし病気を克服できたら、

おまえに渡そうと思って、買っておいた。

それを見ながら、ずいぶんがんばったんだぞ……?」

言う先生の体に腕をまわして、力いっぱい抱きしめた。

「ありがとう……うれしい。すごく。

指輪なんて……こんな風に、もらえるなんて……」