幼なじみの彼と彼女〜大人編〜

ああ、でも。

光さんがJSBに出ていないから早く行かないともう、出てしまうな。

俺は走ってK-Racingのパドックに向かう。

父ちゃんが作ったチーム。

かつては兄ちゃんや俺も所属していたプライベーターチーム。

今はそーちゃんが率いている。

「祥太郎、どうした?」

ちょうど引き上げようとしていた。

そーちゃんが俺を見つめる。

「聞いてくれる?」

大きく深呼吸をして

「梓が…子供を産んだ!」

みんな一瞬、目を丸くしてから満面の笑みを浮かべて

「おめでとう!」

みんな大騒ぎだった。

光さんがいきなり俺を抱きしめて

「これでようやく入籍出来るやんか!」

自分の事の様に喜んでくれた。

「うん、ありがとう」

照れて笑う俺。

「祥太郎、今から時間ある?」

そーちゃんが聞くので頷くと。

「今からみんなでご飯を食べに行こう!」

その言葉に睦海と知樹が大喜びだった。



自分のチームの人達よりも。

先にここのメンバーに知らせるなんて。



…俺にとっては。

ここが本来の居場所かもしれない。