雪野と付き合い始めて半月。

俺としては本当に珍しい。

続いていた。



「しばらく、会えない」

俺は雪野の白い背中に触れながら呟く。

「…別にいいわよ」

理由も聞かない。

この突き放される感覚が俺にはたまらない。

「レースが、あるんだ」

自分の事は基本、話さないのに、雪野には聞いてもらいたい気持ちでいっぱいになる。

「レース?」

雪野の声のトーンが変わった。

今まで俺に背を向けていたのにくるっ、と振り返る。

「俺、バイクのレースに出てるんだ」

「ふーん、だからか…」

雪野は納得したように俺の腕を掴んだ。

「歳の割には鍛えてるなって思ってた」

そう言うとじっと筋肉の付き方を見ていた。



そういう所にしか興味を示さない雪野に惹かれる。



こんな女は初めてだ。